リフトも止まる強い風
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- 「雨は夜更け過ぎに、雪へと変わるだろう」
- そんな歌がよく似合う、五ヶ瀬までの道のりだった。
半ば、希望を。半ば、不安を表していた。
- そう。高鍋あたりから降り出した雨は、高千穂、五ヶ瀬、そしてスキー場の
ふもとに着いても、まだ雨だった。
- 「スキー場は雪が降ってるはずだ。でも、もし雨だったら...」
- タイヤにチェーンを装着しながら、そんな期待と不安が入り交じる。
- しかし、山道に入るとすぐに、雨は雪に変わった。
- 「わーい、雪だーーー!!」 車の中で、歓声が上がる。
- あまりべたつかない、サラサラの雪。最高のコンディションだ!!
- ゲレンデは、新雪がこれでもかと積もった、最高の雪質だった。
- 「シャーーー」という音に加えて、柔らかな感触。体中が喜びに打ちふるえる。
- 五ヶ瀬スキー場始まって以来、こんなシーズンがあっただろうか!?
- ここはどこだ?本当に宮崎県か? 白銀の世界に、しばし、現実を忘れた。
- 2.最高のコンディション...??
- しかし、その感動は、リフト乗り場を見たときに終わった。
土日のように、リフト待ちの行列ができていたのだ。
- 「おいおい、平日だぞ、なんでやねん?」
- 理由の一つは、強風のため、リフトが1本しか動いていなかったこと。
雪は充分すぎるほどあるのに、風のせいでリフトが使えないとは、皮肉なものだ。
- しかも、風はどんどん強くなり、視界はほとんどなくなった。
風も、すぐやむだろうという甘い考えは、打ち砕かれた。
- しまいには、「今日は、第2リフトの営業はしません」と、とどめの場内放送。
リフトに乗っている間も、雪は容赦なくふりかかり、スキーウェアは真っ白(^^)
しかし、1日フリー券を買ってしまった一行は、雪にも負けず、ひたすら滑る。
- 3.クロボウを探せ!!
- やがて、アクシデントは起こった。「12時にロッジ」と約束していたのに、
クロボウ(1年中、皮ジャンと黒いジーンズ姿のため、彼はこう呼ばれている)
の姿が見えない。そういえば、時計を忘れたとか言っていた。
- しばらく待つが、食堂も混んでいるし、
「13時に再びロッジに集合しよう。クロボウに会ったら伝えるように」と、再び滑る。
- しかし、ゲレンデは真っ白。視界はほとんどない(^^;;
- クロボウも、ゲレンデでは黒ずくめではないため、なかなかみつからない(^^;
やがて13時になり、3人は再びロッジに集まった。
- 「クロボウ、いた?」「いや、いない」
- 「まさか、どこかに突っ込んでるんじゃぁ?」
- とにかく、まずは飯を食って、それから本格的にクロボウを探そう、と合意。
3人で食事をする。クロボウ、かわいそうに(^^)
- 食事をしているうちにクロボウが来るかもしれないと、淡い期待を持っていたが、
結局クロボウは来なかった。
- 作戦を練る。「クロボウ検索隊」の結成だ。
- 1人がリフト降り場で待機。あとの2人が、ゲレンデをくまなく検索するということで決定。「クロボウ検索隊」は食事を終え、スタンバイ完了した。
- 「ちょいまち、トイレに行って来る」と、
- 遊撃隊員ゆかたんが、いったんロッジに戻った。ご用を済ませ、ふとおもった。
- 「もしもここでクロボウと入れ違いになったら、笑えるなぁ」
- 念のため、食堂をもう一度見てまわった。
- 果たして!! きょろきょろしながらロッジに入ってきたクロボウを発見!
- 一瞬、このまま見逃してゲレンデを検索したら、どうなるかな、と悪魔のささやきがよぎったが、迷っているうちにクロボウが私を見つけてしまった。
- かくして、「クロボウ検索隊」は、その活動をすることなく、解散したのであった。
- 昼飯を抜いて滑ったクロボウが、その夜、がっつくように晩飯を2人前平らげたのは言うまでもない...