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A アイドルのブロマイド型

 J.スタッフォードやJ.クリスティーとは意味合いが異なるがクラシック界にも美人はいる。ただし知性の香りが漂っていないとゾクゾクと迫って来ないところがクラシックファンの性格を端的に物語っている。多くの場合 後年の写真は見ない方が良いのだが ここに挙げた4人は上手に年齢を重ねた

独エレクトロ-ラ SME81054 L.ポップ モーツアルト もテット他
蘭フィリップス 9500716 F.V.シュターデ オペラアリア集
独エレクトロ-ラ 0053-28024 E.マティス ヘンデルアリア集
英コロンビア 330X1231 M.カラス オペラアリア集

B 神々しい修験僧型

 逆に禁欲的な求道の姿勢に感動を覚えるのも我々の特徴(笑)さらに「悲劇的な死」とか「ナチから迫害を受けた」といった経歴はありがたみを倍加させる。E.マイナルディというこのテーマにうってつけの容貌をしたチェリストがいるのだが、写真入りのジャケが手許に無いのが悔しい。尚EはABが同居した格好の例

英コロンビア 33CX1040 シュワルツコップ&フィッシャー シューベルト歌曲集
露メロディア M10-42633-004 G.エネスコ 名演集
端クラ-ヴェス P-235 P.L.グラーフ 無伴奏フルート作品集
独テレフンケン HT5 G.クーレンカンプ ベートーベン ヴァイオリンソナタ

 

C 第○集型

 クラシックファンには几帳面な人が多いこともあってか?「LP全3部作」とか「全集シリーズが5枚で揃い」等、あるユニットを完結させる喜びは何者にも変え難い。単なる色違いシリーズであることも多いが デザインにもヴァリエーションがあるとそれだけで欲しくなってしまう。概して揃いで買うと高価なので、現在我が家では常に複数のビンゴにリーチがかかっている

英デッカ SXL6767-9 V.アシュケナージ  プロコフィエフ ピアノ協奏曲全集
東独エテルナ 825375-6 ウルブリヒQt ハイドン 太陽四重奏曲

 

 

D デザイナーズブランド型

 レコード会社お抱えの専門家以外にもたくさんの有名人が優れたジャケットデザインを遺している。A.ウォーホールやJ.コクトーのものは音楽ファンならずとも食指が動くところ。ここではイヴ・サンローランのロゴタイプ製作者としても知られるポスター作家、カッサンドルの作品に絞って紹介する。紙質を含めた 見事なリトグラフの印刷技術までお伝えできないのが残念

仏VSM

FALP549 G.スゼー ラヴェルを歌う
仏VSM FALP530 P.デルヴォー フランス管弦曲集
仏パテ DTX116 A.クリュイタンス ロシアの音楽
仏コロンビア FOX567 I.マルケヴィチ 音楽の捧げ物

 

E てにをは型

 いわゆる「間違い探し」のジャケット版。発売国によってタイトル表記は異なって当然だが ここでは微妙なデザインや構成の配置の違いに注目して欲しい。江戸時代に源を発すると言われる書式や修辞(てにをは)への拘泥の伝統が 未だに規制緩和の遅れている役所や業界、それとクラシックLPコレクターの中にだけは?奇跡的に今でも脈々と受け継がれている

 

F ワザトラ型

 一転してサブカルチャーの領域にまで踏み込んだ いかにも作り物ミエミエのデザイン。しかしこの大道芸的なクサさが レトロ復活の21世紀初頭の今 盛んに見直されているらしいのは嬉しい限り。本来はのデザイナーズブランドに分類すべきかもしれないJ.ロウやA.スタインワイスの作品群は むしろこちらの視点から復刻CDのカバーアートに採用されている

 

G オートクチュール型

 まさに曲と演奏のイメージを的確にフィーチャーした手の込んだオリジナルデザインのジャケット。これらを眺めながら聴く再生音はむしろ実際以上によく聞こえる?というスグレモノ達。幅広い教養と素質を兼ね備えたごく一部の達人の手にして初めて成し得るワザの結晶で コスト意識と分業化が極端に進んでしまった80年代以降はほとんど姿を消してしまった

 

ワビ・サビ型

 ご存知日本人特有の感覚領域。「簡素の美」とでも言おうか ゴテゴテと飾り立てることなく最小限のシンプルなデザインで想像力を喚起してくれる。尚 究極の姿は「龍安寺の石庭」を飛び越えてホワイトアルバムになってしまうわけだが、ここでは全て弦楽四重奏のジャケで統一してみた。何故かトリオ(三重奏)ではこの感じが出ない。据わりが良すぎるのだろうか?

 

J その他型(miscellaneous) 

     もともとが牽強付会的なコジツケ分類であったため まだまだ紹介したかったジャケがいくつかスピンアウトしてしまったので 最後の項目として取り上げた。しかしデザインで選んだつもりなのに名録音揃いであることに我ながらビックリ。よくよく考えてみるとこれまでA−Iで取り上げた盤にも「ただし演奏は・・・」という但し書き付の物は皆無で、実はこの辺にも優れたジャケの秘密が隠されているのかも