固まる、粉になる。ミラクル変身の秘密。

牛乳にはいろいろな性質があります。

私たちが日頃食べているさまざまな乳製品は、そもそもは自然の力で偶然作られたものばかりですが、牛乳の特別な性質が解明された今では、その性質を利用して作られています。

 

生クリーム

 搾りたての牛乳をそっと置いておくと、牛乳の中に無数にある脂肪球が集まって、とろりとしたクリーム層ができます。これが料理やお菓子作りには欠かせない生クリームで、乳脂肪がたっぷり含まれています。

 

バター

生クリームをふったりかき混ぜたりすると、タンパク質の膜に包まれていた脂肪球がぶつかりあい、膜が破れて脂肪球同士が集まり、固まりとなります。それを十分に練り合わせるとバターが完成します。このとき脂肪球に含まれているカロチンという黄色い色素が、膜が破れたために出てくるので、白いミルクが黄色いバターになるのです。

 バターは今から4000年前に作られたといわれ、古代ローマや古代インドでは、高価な塗薬や化粧品として使われていたそうです。

 

チーズ  

牛乳に仔牛の胃からとった酵素(レンネット)やスターター(乳酸菌)などを加えると、乳脂肪などの固まり(カード)と水分(ホエー)に分かれ、水分を取り除くとチーズになります。チーズを1キログラム作るには、その10〜14倍の牛乳が必要です。

 5000〜6000年前、ラクダにのって砂漠を通っていたアラビアの商人が、子羊の胃袋に入れておいた山羊のミルクを飲もうとしたら、チーズになっていたというお話があります。

 

粉乳

 牛乳から水分や脂肪分を取り除くと、粉になります。水分だけを除くと全粉乳に。脂肪分を除いたものは脱脂粉乳(スキムミルク)に。そのほか赤ちゃんに欠かせない調製粉乳もあります。

 マルコ・ポーロの『東方見聞録』を見ると、13世紀に軍人が粉乳を利用していたという記述があります。

 

練乳

 牛乳を濃縮すると練乳ができます。砂糖を加えたコンデンスミルクと加えないエバミルクがあります。イチゴにかけるとおいしい練乳は、18世紀末のイギリスで最初に作られました。

 

ヨーグルト

 牛乳や脱脂乳を乳酸菌や酵母で発酵させると、ヨーグルトになります。整腸作用だけでなく、コレステロールを抑え、抗癌作用もあるらしいというので、人気の高いヨーグルトですが、非常に古い時代から東地中海で利用されていたそうです。

 

アイスクリーム

 牛乳や乳製品に砂糖や乳化剤、安定剤、香料などを加えて、低温でホイップしてから凍らせると、アイスクリームができます。16世紀の初めにイタリアで作られた氷菓子がアイスクリームの始まりだといわれています。ほかにアイスミルクやラクトアイスがあります。

 

乳酸菌飲料

 脱脂乳を乳酸菌や酵母で発酵させたものを素にして、砂糖や香料、色素や果汁などを加えたものが、乳酸菌飲料です。  

 

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