白い牛乳に含まれる命を支える栄養素。

遥か昔から、牛乳は人の生活と深く関わってきました。

人間が牛や山羊や羊や馬などの乳を飲みはじめたのは、約1万年前頃ではないかといわれています。

ミルクは哺乳類の最初の食べ物で、これほど完全な栄養食品はありません。

なぜならミルクには、良質なタンパク質や脂質、カルシウムなど

小さな命を育てるために必要な栄養がいっぱい入っているのですから。

手軽に飲めるコップ1杯のミルク。

そのなかに、命を支えてくれるどんな栄養素が含まれていて、

それがあなたの体にどんな働きをするのか、詳しく見てみましょう。

 

牛乳に含まれる成分。

 一番多く含まれているのはもちろん、水分です。牛乳の87〜88%が水でできています。ではそのほかにはどんな栄養成分が含まれているのでしょうか。

  タンパク質

 牛乳には、とても良質なタンパク質が豊富に含まれています。なぜ良質なのか。その理由は体の中では合成されない必須アミノ酸を含む19種類のバランスのよいアミノ酸で構成されているからです。

 タンパク質は血や肉、骨や皮膚、髪の毛にいたるあらゆる細胞を作る大事な栄養素ですが、ホルモンの生産や免疫物質などにも関わっています。またタンパク質の一種であるグルタミン酸は、頭の働きをよくする物質を作りだします。

 牛乳のタンパク質の多くはカゼインと呼ばれるものですが、これを固めたものがチーズなのです。

 

脂質

 牛乳の脂質は乳脂肪といわれます。小さな脂肪球の形で1ミリリットル中に20~60億個も分散しており、そのため脂肪分解酵素作用が有利に働いて、消化吸収率が97%と高いのです。

 脂質はエネルギー源として元気をくれますが、その構成要素は体のすべての細胞やホルモン、胆汁酸などに必要です。またビタミンA、D、Eの吸収や貯蔵、神経の働きにも深く関わっています。

 

糖質

牛乳を飲んだとき、かすかな甘味がありますね。これは乳糖によるものですが、牛乳の糖質はほとんどが乳糖です。

 乳糖は哺乳動物の乳に特有のもので、幼児期の脳細胞の発達に欠かせません。腸の働きを整えるので、便秘にも効果があります。また、カルシウムの吸収を助け、鉄の吸収を促進します。重要なエネルギー源としても筋肉の収縮や体温の維持、病気への抵抗力などに関わっています。ブドウ糖も含まれていますが、これは脳のただ一つのエネルギー源です。

 

カルシウム

 育ち盛りの子どもたちの丈夫な歯や骨を作ってくれるカルシウム。日本人はカルシウム不足だと言われますが、欧米と比較すると土壌にカルシウム分が低いことに加えて、牛乳や乳製品の摂り方が少なく、運動不足などによるカルシウムの吸収力の低下が原因だといわれています。

 牛乳は母乳の成分にもっとも近いといわれますが、カルシウムの量に関しては牛乳のほうが4倍近く多いなど、カルシウムの補給にもっとも適しているといわれます。それはコップ1杯の200ミリリットル中にカルシウムが200ミリグラムも含まれていることに加えて、牛乳の中のタンパク質や乳糖などの働きで、吸収率が50〜70%と高いからです。ほうれん草などの野菜類が約20%、小魚類が約30%ですから、その吸収率の高さは、際立っています。ですからコップ1杯の牛乳で、1日に必要なカルシウムの量の3分の1を摂ることができます。

 カルシウムは骨や歯の形成のほか血液の凝固、ホルモンの分泌、免疫機能などに深く関わり、筋肉の収縮や心臓の鼓動を一定に保つという大切な役目も持っています。さらに神経の興奮を抑えるので、イライラや情緒不安定を防ぐのにも効果的。よく眠る前にコップ1杯の牛乳を飲むと安眠できるといいますが、その訳はこんなところにあるのです。

 人の体の中には約1キログラムのカルシウムが蓄えてありますが、その99%が骨や歯の中に含まれ、1%が血液や組織の中にあります。若いときから一定量のカルシウムを骨に蓄えておかないと、カルシウムの貯蔵庫の役割をしている骨がからっぽになってしまい、その結果骨粗しょう症などを起こしてしまいます。

 

ビタミン

牛乳に含まれるおもなビタミンは、AとB2です。

 ビタミンAは、200ミリリットル中に約0.06ミリグラム含まれます。Aには二つの形があり、一つはレチノール。これは子どもの成長を促し、目を健康にするのに必要です。もう一つはベータカロチン。これは組織の損傷を保護するのを助ける特性をもっています。鼻や喉の粘膜を守ってくれます。

 ビタミンB2は、200ミリリットル中に約0.30ミリグラム含まれています。栄養分の代謝を高め、食欲をわかせて成長促進作用に大切な役割を果たしています。

 その他にも牛乳に含まれているビタミンDは、骨や歯を強くするためにカルシウムやリンと結合した状態で使われたり、腸でカルシウムを吸収するときにも使われます。

 また、ビタミンB1は、疲労回復に効果を発揮しますし、ビタミンEは老化の原因と思われる過酸化脂質を防ぐ働きがあるので、老化防止ビタミンとして注目を集めています。

 

 1杯の牛乳にはこれだけの命を支える栄養が入っているのですから、驚いてしまいますね。牛乳は、子どもたちには丈夫な骨や歯を、大人には肌に潤いを与え、腸を活発にし、慢性の疲労やイライラを防いで安らかな眠りをもたらしてくれます。

 さあ、今夜は牛乳をコップ1杯飲んで休んで  

           

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