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村下孝蔵氏の訃報

 村下孝蔵氏が亡くなって1年が経とうとしている。彼の訃報がメールでもたらされたのは、亡くなった夜のことだった。その1年以上前のことになるが、偶然にも彼のホームページにたどり着き、ポストペットを使っていることを知った。ほんの挨拶程度のメールを送ったのは、もともと曲が好きだったのと近所の村でのコンサートを聴きに行ったことがあったからである。数日後、返事のメールが彼のペット「くら」によってもたらされた。メールのやりとりは、それがたった一度のことであった。

 ポストペットの場合、ペットでの配達になると一回に1人の相手にしかメールは出せない。しかも一度配達に行くと帰ってくるまでにかなりの時間を要する。そういう条件の中で、なぜか「くら」は私のもとに彼の訃報を届けてくれた。遺族が悲しみと混乱の中で、なぜ宛先として選んだのか今となっては知る由もないが、テディベアの「くら」のあどけない姿とメールの内容のギャップが大きくて絶句したものである。メールには、倒れてから亡くなるまでの経過や葬儀告別式の日程そしてこれを限りにこのメールアドレスは閉鎖する旨が書かれてあった。

 それ以前から我が家のポストペットはトラブルを抱えて、それほど使い心地は良くなかったのだが、なんとなくこの出来事で精神的な部分でもポスペを卒業したような気がする。 

(00/6/14)