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カースタント

 長男がまだお腹の中にいるときの話だ。妻と3歳の長女を乗せて、延岡に買い物に出かけた。近くのガソリンスタンドで給油して、海沿いの片側2車線の道路を走っていると、前方にフラフラと道路を横切るように左から出てくる車を発見した。こちらもちょっとよそ見をしてスピードもちょっとだけ多めだったと思うが、直前の横断は非常に困る。そのまま走ると確実にぶつかりそうなので、と言うかほぼ相手の車の側面近くまで来ていた。大慌てでハンドルを左に切ってなんとか衝突は避けたが、今度は道路沿いの椰子の木が目の前にあった。今度は右にハンドルを切ってかわそうとしたら、そのままスピンして道路の真ん中で止まった。どうもセンターラインの出っ張りにタイヤが当たって止まったようだ。その衝撃でタイヤとホイルが生き別れになっていた。

 原因となった車の運転手が心配そうな顔をしてこちらを伺っていた。かなり頭にきていたので、がつんと言ってやろうと思ったが、大声を出すのが気の毒になるくらいの気弱そうな人で、何でも夜勤明けの疲れでボーっとしていたらしい。こちらも怪我はなかったので、その場で何事もなかったように別れたが、パンク修理代と言って百円玉5枚くれたのには苦笑した。

 車がスピンして止まったときに、後部座席で長女が泣き始めたので怪我でもしたのかと慌てたが、スタンドでもらったチョコレートがスピンの拍子に手から離れて泣いていただけだった。幼い子と身重の妻をかかえたカースタントは、成功したから良かったようなものの、失敗していたら笑い話にもならなかったと思う。道路の真ん中に止まっているときに、対向車が来ていなかったのも幸いだった。もう一回やれと言われても、果たして出来るかどうか! 

(00/6/12)