MACROSS DIGITAL MISSION
VF−X


MISSION 7
−−BY ぢLQ−−


・・・・・ここは統合軍強襲潜航鑑ヴァルハラIII、ゼントラーディの反乱軍にさらわれた次期防衛計画の要でもあるヴォーカルグループ、「MILKY DOLLS」の救出作戦「Orpheus」を実行中だ。
 敵の数は大したことがない上に改良してあるとはいえ旧式のポッドばかり。とはいえ、そんなに大事な「お嬢さん」達を助けるならもっと大艦隊を送ってもいいと思ってはいるのだが、この作戦を実行するのはこの「ヴァルハラIII」のみ、しかもバルキリーのパイロットは俺だけと言う始末、パイロットよりオペレーターの数のほうが多い鑑なんか聞いたこと無いぞ・・・・・と、一軍人には過ぎた発言だったな。

 ま、平和な世の中に少々退屈してた俺に活躍の場を貰ったと思えば安いもんか。

すでに「MILKY DOLLS」のメンバー5人のうち「リアトリス」「モーリィ」の二人を救出、現在他のメンバーの行方を追っている。

・・・・・とまぁ現在の状況はそんな感じだ。

 おっと、俺の名は「ランド=グリック」、この銀河系の辺境1、いや現統合軍のエースパイロットと言えば俺のことだ。ま、覚えといて損はないぜ

・・・・な〜んてな。

 ここはヴァルハラIII内の通路、艦長に呼ばれた俺は艦長室へと向かっていた。と、角を曲がったところで不意に胸に鈍い、というか柔らかな衝撃が起こった。

「おっと!」「キャ!」

「あ、グリックさん、す、すいません!」

彼女の名は「美保 美穂」、この鑑のオペレーターの一人だ。かつてあの「マクロス7」のメインブリッジにいたこともあったそうだが、なぜこの鑑に来たのかは俺も知らない。

「いや、こっちこそ」

「これから艦長室へ?」

「ああ、どうやら次の目標が決まったみたいだな」

「大変ですね、いつもお一人で作戦を実行なさるなんて。」

少し沈んだ表情で美穂が話掛ける。

「ん、まぁ下手に足手まといを増やされるよりはマシさ。なんたって辺境一のパイロットだからな、俺は。ハハハ」

少々オーバーなポーズで返事を返す。

「フフ、自信家なんですね。」

彼女の顔に笑顔が戻る。そうそう、美人には笑顔が一番だ。

「んじゃ、俺はそろそろいくわ」

「あ、はい」

 そうして彼女とすれ違ってからすぐ、今度は「カレン=アレン」が向こうから現れた。この通路はメインブリッジにもつながっているので、こういうことは珍しくない。

「あら、グリッドさん、こんにちは。」

「あ、ああ」

俺はどうも彼女の冷静沈着な態度が苦手だ。ま、美人には違いないんだけど。

「艦長がお待ちのようでしたよ。」

「あ、そう?んじゃ急ぐとするかな」

俺はそういうと首をひょいと前にかがませるとそそくさと艦長室へと向かった。

ドアの横のパネルを操作してドアを開ける

ウィーー・・・ン

「失礼致します!」

背筋を伸ばし、キビキビとした態度で敬礼する。

「うむ、呼んだのは他でもない、次の攻撃目標および作戦概要が決まった。先の戦闘でも分かるように、敵の数が衰えることは無い、今後の作戦行動を容易にするためにも敵の無人機動兵器生産工場の破壊は不可欠だ。
 今度の作戦で敵の工場をかんぷなきまでに叩き潰す、これが君に与えられた任務だ。作戦内容の詳細はオペレーターの指示に従ってくれ。
 作戦開始は2時間後だ、健闘を祈る!」

「はっ!(おいおいおいおい!一機で敵基地を全滅しろって〜のか?相変わらず無茶言うぜ・・・・・ま、俺の腕の見せ所だな)」

部屋を出ると扉の傍らに俺が助けた「MILKY DOLLS」のメンバー、リアトリスの姿がある。

「何か?」

「あの・・・出撃がお決まりになられたんですか?」

「え、ええまぁ・・・」

相手は年下とはいえ一応軍人らしい態度で話す。

「また・・・危険な任務になるんでしょうね。・・・・ごめんなさい、私達のせいで・・・・」

今にも泣きだすのではないかと思うほど暗い表情で話す。

「い、いえ、これが自分の仕事ですから、それにあなたも言ってたじゃないですか、俺がきっと皆を救い出すだろうって、だからそんなに思いつめないで・・・」

ここはビシ〜ッと男らしいとこを見せんとな。

「そぉ〜〜よぉ!あなたが気にすることないわよ、リアトリス!
 ほぉ〜んと、あんたもさっさとみんなを助け出してよねぇ!」

不意にリアトリスの背後から雰囲気ぶちこわしの声が飛び込んでくる。

「モーリィ!なんて事いうの!」

やっぱりこいつか・・・・全く、最近のガキは・・・・

「い、いや、気にしないで・・・(もっといってやれ!)」

「本当に申し訳有りません・・・・」

リアトリスが謝る後ろでモーリィは頭の後ろで手を組んで横を向いている。まるで悪ガキにその保護者だな・・・・。

「じゃあ、自分はそろそろいかないと・・・」

「あ、はい、・・・どうか御無事で・・・」

「では!」

俺は二人に向かって敬礼をすると、バルキリードックへと向かった。

「グリックさん!こっち!」

 ドックに着いてキョロキョロしている俺に探していた人物がバルキリーのコクピットから手を振っている。彼女の名は「ユウリ=ユイ」この若さで鑑載機の整備チーフを行っているってのは凄いよなぁ・・・。
 仕事上俺と話す機会も多いため、今ではタメ口で会話をしている。ま、別に嫌悪感はないからいいけどね。

「調整作業の遅れていたVFー19とVー22の作業が完了、使用可能になったわ。」

「やっとか・・・」

 そういってその機体のほうを眺める。今回の作戦は事件の性質上、急に決まったので整備をしている暇が無かった。そのため、整備が済んでいないままの機体を搭載し、初めから全機を使えるというわけにはいかなかった。
 最初なんか30年以上前の主力機、そのときより性能を上げてあるとはいえVFー1X_Plusしか使えない有様だったからなぁ、よかったよかった。

「ほんとにお待たせ。で、今回はどの機体で出撃するの?作戦内容をから考えるとVFー17Dがいいと思うけど・・・・。」

クリップボードにはさまっているレポートをパラパラとめくりながら彼女が話し始める。

「う〜〜〜ん、そうだなぁ・・・・・」

しばらく考え込む。こういうときはさすがの俺も真剣だ。

「・・・・・ん!よし、VFー19を用意しといてくれ。」

「VFー19A?・・・分かったわ、この機体で出撃ね。」

 少し意外といった表情で彼女は返事をすると、ボードの紙に何かを書き込んだ。確かに地上戦にはVFー17Dがいいかもしれないが、どうもあの機体は旋回力に欠けるので正直あまり気に入っていない、それに最新鋭機の感触も味わってみたいしな・・・。

 そして俺はパイロットスーツに着替えるため、ロッカールームへ向かった。ロッカールームの中には10以上のロッカーが並んでいるが、現在使っているのは実質、俺一人だ。
 誰もいない部屋で軍服を脱いで少しゴワゴワしたパイロットスーツに着替え、グラブをはめると端をパイロットスーツと繋げる。
 備え付けの椅子に座り、両手で抱えたヘルメットをじっと見つめ、集中力を高める・・・・・が、もうここには帰れないかもしれない、そんな雑念が頭をよぎる、そんな思いを振り払うように頭をヘルメットに軽く数回叩き付ける。ようやく心を落ち着け、しばらくして時計を眺める、作戦開始30分前だ。

「よし!」

意を決して立ち上がるとヘルメットを片手に下げ、ロッカールームを後にした。

 再びドックへと現れた俺はすでに大方の準備が完了している機体のチェックを分かる範囲で、とはいってもパイロットをやっているとほとんどのことは分かるのでチェックがまだ行き届いていないところのチェックはどこでも行える。

「よし!マイクロミサイルのチェック完了!ユウリ、そっちはいいか!?」

するとコクピットからユイが現れる。

「コクピット内、機体コントロールシステム及び電気系統のチェック完了!いつでも発進できます!」

そういうと彼女はヒョイと機体から飛び降り、俺に近付いてくる。

「私の可愛いVFー19をよろしく!壊したりしたら承知しませんから!」

「ああ、まかせとけ、今より綺麗にして返してやるよ。そんじゃ!」

そんな冗談を飛ばすと軽く敬礼をする。

「がんばって下さい!」

背中の彼女の声に親指を上げて答えるとすでにエンジンの火が入っているVFー19へと乗り込み、モニターを繋ぐ。

「ブリッジ、こちらランド=グリック、出撃準備完了。作戦の詳細を頼む。」

 するとすぐにモニターにオペレーターの顔が現れる。彼女はフォアン=ホアン、なぜだか知らないが彼女は軍服の上にヒラヒラのエプロンのようなものを着ている。確かに子供っぽい外見なのだが・・・しっかしこんな服を許している艦長も寛大な方だ。ま、彼女はそれでもちゃんと仕事をこなしてるのは立派立派。

「今回の作戦の内容を説明します。衛星軌道上からでは、残念ながら敵自動機動兵器生産工場の正確な位置は把握できません。そこで今回の作戦では、まず敵兵器工場があると考えられている場所の近くまで潜入、その後敵輸送ポッドの追跡を行い、そのまま敵工場へ強襲を掛けます。なお、敵輸送ポッドを見失うと作戦は中断されますので、充分注意してください。」

「了解した。VF−19A出撃する!」

「了解。遠心カタパルトに接続します!」

機体の背面を掴んでいるアームがそのまま機体を鑑底に装備されている
遠心カタパルトへと運び出す。機体が遠心カタパルトへと受け渡される。

「VFー19Aシステムオールグリーン、遠心カタパルト展開、作戦目標に向けて射出します!」

そういい終え、彼女が上部のパネルを手際良く操作すると同時に俺はエンジンのスロットルを一気に上げる。

キュオォォォォォォッッッ!!

カン高い音を発しながら青白い炎が上がる。と、アームがバッティングマシーンの腕のように勢い良く回転する。

グォッ!

体の隅々まで強烈なGに襲われる。何度やってもさすがにこれには慣れることが出来ない。とはいえアームから解放され、機体をモニターの指示どうりのコースへ向けると、惑星エシュリオンの大気圏内へと突っ込んだ。




 大気圏の燃えるような光景の後、純白の雲を突き抜け目標地点に着いた頃にはもう日が暮れかけていた。ここは・・・・地球で言うグランドキャニオンのような所だろうか。

「ブリッジ、こちらVF−19A、目標地点に到着した。」

すぐさまモニターにフォアンの姿が映る。

「了解、では敵の追跡を行ってください。敵の大型輸送ポッドは、ケルカリアを改装したオレンジ色の機体です。見失わないように注意してください!」

「了解!」

しばらくしてレーダーの示す方向に多量の砂塵が上がるのが見えてくる。

「あれか・・・・・」

ガウォークに変形して上空からある程度の距離を置いて追跡を行う。

と、突然発信音と共にモニターにフォアンが現れる。

「敵機をレーダーエリア内に捕捉!3時方向距離4000、直ちに迎撃してください!」

「見つかった!?」

再びファイターに戻ると輸送機を見失わない程度の距離で敵を迎え討つ。

「来る!」

敵飛行ポッドが3機。一瞬のうちにすれ違う。

「くっ!」

機体を縦回転で180度急旋回させ天地逆さまの状態になると、そのまま敵2機を一気にロックする。

「いけぇ!」

発射されたミサイルは敵に向かって不規則な弾道を残しながら向かってゆく。
 敵も機体を旋回してかわそうとするが、ミサイルはその動きに振りはらわれずに敵に向かって軌道修正し、次々に敵に命中してゆく。

「うぉ!!」

ロックし損ねた敵が発射したバルカンがバルキリーをかすめてゆく。
 機首を下げてかわすとそのままバトロイドに変形し山頂の部分から敵を狙撃する。徐々に弾丸の軌道が高速で移動する敵ポッドに近付き、一発が命中すると一気に敵のスピードが下がり、そのまま蜂の巣状態にするとまばゆい光を上げて消え去った。

「ガトリングガンの軌道修正も抜群だな、さすが最新鋭機・・・・と、感心してる 場合じゃねぇ!」

あわてて敵輸送機の姿をレーダーと肉眼で探す。

「いた!」

索敵レーダーの範囲ぎりぎりに姿を捉える。

「危ねぇ危ねぇ」

再びガウォークに変形すると敵の追跡を行う。攻撃こそ行ってくるものの敵輸送機は尚も移動を止める気配はない。

「おかしい・・・もう俺の存在は知られているはずなのにまだこいつは移動を止めようとしないなんて・・・・・まさか・・・罠か?」

そんなことを考えていると不意にフォアンがモニターに現れる。

「敵秘密工場群を発見!直ちに工場の破壊を開始してください!」

「了解!・・・・ま、罠だろうとどうだろうとさっさとぶっ壊して帰るだけだ!」

ファイター体形に変形させると一気に敵工場都市へと向かった。

「チンタラやってたらこっちが不利だ、一気に決める!・・・・あれか!?」

作戦前に見せられたのと同じ形の建物を見つけるとミサイルを打ち込み、周りで守っている敵ポッドごと工場を破壊する。だが生き残った敵の攻撃が俺のバルキリーを襲う。旧式とはいえ数が揃えば脅威だ。

「ブリッジ!こっちの情報から敵工場の位置を探してくれ!こっちも出来るだけのことはするが一機で敵を攻撃しながらじゃ限界がある!」

「りょ、了解!少し時間を下さい!」

「わかった!早く頼むぞ!」

「わかってます!何とか持ちこたえてください!」

「了解した!」

モニターを切ると敵の攻撃をかわしながら工場を探す。

「次は・・・あれか!?」

レーダーが使えない以上肉眼に頼らざるを得ない。

「ちくしょう!どんだけあるんだよ!」

そう叫びながら工場を攻撃する。と、爆発音と同時にフォアンがモニターに現れる。

「4つの工場を6時方向に確認しました。直ちに破壊してください!」

「了解!直ちに向かう!」

機体を旋回させると指示された方向へ向かう。

「あれが最後か!こんなところ、さっさとおさらばしてやる!」

機体を回転させて敵の攻撃を軽やかにかわすと残りの工場を破壊する。

「全ての敵のせん滅、及び工場の破壊を確認しました、直ちに本鑑に・・・えっ!?」

突然彼女の様子が変わる。

「気をつけてください!正体不明の敵機1、急速接近中!」

「なに!?」

慌ててレーダーを確認する。他とはまるでスピードが違う機体が真っすぐこっちへ向かってくる。

「機体名は本当に分からないのか!?」

「え!?・・・・デ、データにはありません!見たこともない機体です!」

フォアンはどうしてよいか分からずうろたえている。

「大気圏下でこのスピード、巨人の飛行ポッドじゃない。クァドラン=ローにしても速すぎる。・・・まさか・・・・バルキリー!?そんな馬鹿な!」

そんなことを考えている間にも敵はどんどん迫ってくる。

「くそっ、逃げられるか!?」

敵を振りきろうとするが敵は少しずつ間を詰めてくる。

「駄目か!しょうがねぇ、やってやるぜ!」

ブースターを逆噴射させ敵の向かってくる方向に向けると、機体の姿勢を整える。

ピピピッ!

モニターが反応する。

「来た!」

ロックしようとしたがそのまもなく敵の機体は爆音を上げてギリギリの所ですれ違う。俺は慌てて後ろを振り返る。

「あの色・・・・ヌージャデル=ガーに似ているが形がまるで違う、やはり新型か!?・・・だがこのVFー19に比べれば!」

敵をロックするとミサイル発射ボタンを押す。

「当たれぇ!」

ミサイルが白い煙を上げながら敵へと向かう。が、敵は簡単にミサイルをかわすとその間を縫うようにしてこっちへ直進してくる。

「かわされた!?」

再びロックし直そうとするとモニターの照準内の敵の形が突然変化する。

「変形だと!?やはりバルキリータイプなのか!」

そんなことを考えていると敵から無数の白煙が上がり、多数のミサイルが白い網のように迫ってくる。

「うぉっ!」

バトロイドに変形し、後退しながらガトリングガンを乱射し、敵のミサイルを狙撃する。

「どこだ!?」

全てのミサイルをうち落とした頃にはすでに敵の姿は元の位置にはない。

ピーーーッ!

警告音がコクピット内に鳴り響く。

「後ろ!?」

すでに完全に俺の後ろに回り込んでいる敵は両手を体の前で組んで再びミサイルが乱射させる。ファイターに変形し、振り切ろうとするが充分に加速するより前にミサイルが追い付いてくる。

「くそぉっ!」

爆音と黒煙が周囲に鳴り響く。

「ヤ!ディ バルクリェ イスト ツェイステン!
 (よし!墜ちたな!)
 ・・・・ウム、ヴィエ ビスト ディーゼン スカーテン?
(・・・・ん、何だこの影は?)
 ・・・・・デカルチャ!」
(・・・・なんだと!?)

 敵の上に回り込んだ機体を急降下させるとミサイルを打ち込みながらバルカンを乱射する。敵も必死で避けようとするがすでに数発が敵の機体に打ち込まれ、機体から煙が発せられると敵はそのまま飛び去ってゆく。相手を討つには絶好のチャンスだが、深追いをするにはこちらにもあまりに余力が無い。

「ヤック!ディーゼム レイヘン トゥルック イーヒ ベスティムト!」
(くそ!この借りは返す、必ず!)

やがて敵は肉眼で確認できないほど遠くへ消えていった。

「敵は、索敵圏外へ逃走しました!」

モニターにフォアンが笑顔で現れる。

「ふぅ・・・」

彼女の言葉に緊張感から一気に解き放たれる。

「ぶっつけだったが何とかなったな・・・・。」

龍鳥飛び・・・この機体のプロトタイプ機「YFー19」のテストパイロット、イサム=ダイソンが考案した回避技、その方法はVFー19のマニュアルにも載っているがまさか実戦で使うことになるとは思わなかった。ちゃんと読んでおいて良かった・・・。




「グリックさん、追加指令です。ミルキードールズのメンバーと思われる生体反応を工場敷地内に確認、直ちに救助に向かわれたし!」

「なんだとぉ!?」

思わず声を上げる。
 そりゃそうだ、もしかしたらさっき俺が攻撃してた建物にいたのかもしれないんだからな。もし彼女を巻き添えにしてしまってたら、クビどころの話じゃない。ファンから殺されちまうぞ。

「了〜解。モニターに情報頼む。」

「了解しました!では。」

モニターから彼女の顔が消える代わりにレーダー画面が現れる。

「あっちか・・・」

ガウォークに変形すると滑るように道路を走る。

「この建物の地下部分か。」

バルキリーから降り、ヘルメットを脱ぐとと懐中電灯を手に階段を下る。地球人サイズのためだろうか、あまり使われてる形跡はない。廊下の電灯もほとんどがイカレてしまっている。

「この階のはずなんだが・・・・・ん?」

自分の出す音以外一切の音が無い地下室に今までとは違う空気の振動を感じる。

「・・・・・歌・・・か?」

考えるより先にその方向へ足が向かってゆく。歩くに従ってその音はわずかだが大きくなってゆく。そしてある部屋の前で足を止める。

「ここか?」

扉を開き中を覗くと、今までの廊下の風景から比べると妙に広い部屋の奥で一人少女が背中を壁にもたれ掛けさせながら座り、瞳を閉じながら歌を歌っている。

甘い、囁くような声で・・・・・。

「(彼女に間違いない、写真と同じ顔だ・・・)」

歌に夢中になっている彼女はまだこちらには気付いていない。
 俺はしばらくその歌に聞き入っていたが、少しずつ近付くと彼女はハッと目を開き、俺の方を見る。一瞬驚いたようだが俺の格好を見てすべてを察したらしく笑顔でこちらへ向かってくる。

「あらあらあら、あなた、「ぱいろっと」さんですねぇ?」

思わずズッコケそうになる。何だこのオトボケ娘は。
 モーリィといい、この子といい、アイドルってのはどうしてこうアクの強い性格なんだろ。俺は気を取り直して形式的に自己紹介をする。

「自分は統合軍強襲潜航鑑ヴァルハラIIIのバルキリーパイロット、ランド=グリックであります。あなたの救出に参りました。」

半分は嘘だけど・・・。

「わたくし、ミルキードールズのメンバーの一人、フリージアですぅ。遠いところお疲れ様でしたぁ〜。本当に大変でしたねぇ〜。」

「はぁ、まぁ・・・・」

「私、あなたが来るのをずぅ〜っと、ずぅ〜っと待ってたんですぅ〜」

おいおい、今度は一人で妄想モードに入ってるぞ。
 なんだかこの子と話してるといままでの疲れがどっと出てくる・・・。

「あ、あのですね、今はこんな話してる場合じゃないんですが・・・」

思わずこっちもペースを合わせてしまう。

「え、そうなんですか?じゃあ、さっそく参りましょうかぁ。」

そういうと急に腕を組んでくる。

「ち、ちょっと!」

思わず狼狽え、腕を放そうとするが、彼女はそれを許そうとはしない。

「だってぇ、部屋の外って薄暗くて怖いんですぅ。・・・それにしてもパイロットさんったら照れちゃって、かわいい所あるんですねぇ。」

もはや返す言葉もない。俺は一つ大きなため息をすると彼女を傍らに連れ元の道を歩き出した。しかしまぁ、こんなところ世のファンの男どもに見られたらどうなることやら・・・・。ま、さすがの芸能記者共もこんな所まで来れるわけねぇから大丈夫だな。


 やがて地上に戻るとすでに日が暮れて真っ暗になっていた。
彼女はバルキリーを口を開いて見上げている。

「はぁ〜〜〜、これが戦う飛行機ですかぁ〜」

「ほら、早く乗ってください。」

彼女の背中を押してせかす。

「はぁ〜い、・・・・ん、よいしょっと。・・・意外と狭いんですねぇ〜。」

「しばらく我慢してください。じゃ、いきますよ」

ハッチを閉じるとエンジンを始動させる。

「しゅっぱ〜つ!」

片手を振り上げてフリージアが叫ぶ。彼女のこのノリはどうにかなんないものか。

 ともかく、ファイター体形にすると徐々に高度を上げてゆく。
と、後ろの席からフリージアが顔を覗かせながら新しいオモチャを与えられた子供のようなキラキラした目で話し掛けてくる。

「これってロボットになったり、さっきの変なガチョウさんみたいになったり、はぁ〜〜、面白いですねぇ〜。」

そういって辺りを見回す。

「あの・・・・少しの間でいいですから黙っててもらえませんか?」

「あ、すいませんでしたぁ〜」

照れ笑いをすると、少しすまなさそうにうつむいて席に深く身を沈める。
彼女のその姿を確認してからブリッジと通信を繋ぐ。

「ブリッジ、こちらランド=グリック、ミルキードールズのフリージアさんを救出、全ての任務を完了した。これより帰還する。」

「了解しました。機体回収ポイントでお待ちしてます。お疲れ様でした。」

そしてモニターを切ると機体をフヴァルハラIIIの待機するポイントへと向けた。


「あのぉ・・・」

「はい?」

「もぉしゃべってもいいですかぁ!?」

俺は一つ大きなため息をすると

「ええ、どうぞ」

それからヴァルハラIIIに着くまでの間、彼女のおっとり口調の独壇場がつづいたのは言うまでもない・・・・。


The Mission End & The Story is still Continue....




PS.この仮想ドラマは

  *PSソフト「MACROSS DIGITAL MISSION VF−X」を参考にし,私の想像で書き上げたものです。

  *PSはソニー・コンピュータエンターテイメントの商品です

  *ソフト「MACROSS DIGITAL MISSION VF−X」はバンダイ ビジュアル(EMOTION)の商品です

  *マクロスはアートランドの作品です




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