超時空要塞
マクロス
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閉店


BY なない

−−−閉店間際の喫茶「バリエーション」−−−

(カランコロ〜ン)

ナナイ「いらっしゃいませ。あ、9時には店閉めちゃいますけど、いいですか?」

男A「かまわんよ」

ナナイ「すみませんね、バタバタしてますが」

男A「こちらこそ、こんな時間に申し訳ない。あ、ホットもらえるかな?」

(カウンターに腰掛ける、男A)

ナナイ「かしこまりました」

(洗い物の手を置き、ホットコーヒーの準備をするナナイ)

ナナイ「お客さん、軍人さんですか?」

男A「ほう・・・? わかるかね」

(パイプに火を付ける男A)

ナナイ「わかりますよ、なんとなく」

男A「雰囲気がかね」

ナナイ「いえ、物腰が堅いから」

(コーヒーを出すナナイ)

男A「ハハ・・・、物腰が堅い、か。確かにそうなるのかもしれんな、この生活ではな」

ナナイ「毎日が、命のやりとりでしょうからね?」

男A「そんな格好の良いものではないよ、日々敵におびえる毎日だ」

ナナイ「それよりつらいことなんて、この世に無いでしょう」

男A「まったくだよ」

(愛おしそうに、カップをなでる男A)

男A「ここでこうしていることも、私にとっては唯一の貴重な時間だよ。落ち着く為のな」

ナナイ「“あなたの魂に安らぎあれ”」

(宙を指で切るナナイ)

男A「ん? なんだね、今のは」

ナナイ「私の祖国のまじないです。もっとも、祖国は統合戦争で軍の侵攻に遭い、完膚なきまでに破壊しつくされましたが」

男A「君の祖国は、統合政府樹立に反対したのかね?」

ナナイ「らしいですね。そんなことも自国民に知らせないままに、政府は戦争に突入しましたから・・・」

男A「君は、その時どうしたんだ」

ナナイ「・・・当時、私は学徒動員の名目でいきなり適性検査や対G訓練などを受けさせられましたね」

男A「ホウ、ということは戦闘機に乗ったのかね?」

ナナイ「ええ・・・、二度ほど」

男A「実戦でかね、訓練は何時間ぐらい?」

ナナイ「シュミレーションで、百五十時間。訓練機で三十時間ってとこですか」

男A「たったそれだけでかね! 常軌を逸しとるな・・・」

(乱暴にカップを置く、男A)

ナナイ「目の前に、決戦が迫ってましたからね」

男A「なり振り構わず、というわけか」

ナナイ「でしょうね」

(自分のコーヒーを入れるナナイ)

男A「よく生き残ったな、君は」

ナナイ「最終防衛ライン上で、逃げ回っていただけですから」

男A「ふ・・・ん」

(コーヒーを飲み干す、男A)

男A「なるほど。・・・ありがとう、御馳走さん。こんな閉店間際に悪かったね」

ナナイ「いいえ、とんでもない。こちらこそ、変な話をしてしまって」

男A「いや、いい話を聞かせてもらったよ。ちょっと、身につまされる話では、あったがね」

ナナイ「・・・統合戦争では、政府軍だったんですね?」

男A「ハハ、お互い昔の話じゃよ」 

ナナイ「ええ、確かに」

男A「うむ・・・、それでは戻るとするか」

(立ち上がる男A)

ナナイ「有り難うございます。・・・まだ仕事中なんですか」

男A「抜け出してきてな。やれやれ、これもブリッジが禁煙なのがイカンのだよ。すぐ、シャミーに怒られるんでな、落ち着いて休めんからなあ」

ナナイ「へ? まさか・・・、あなたは」

男A「お代はここに置くよ、それでは、また寄せてもらうとしよう」

(そういってドアを押す、男A)

ナナイ「あ、有り難うございました」

カランコロ〜ン

ナナイ「・・・反則だな、これはもう」

(口ではそう言ったものの、なにか特別な時間を、それでいて懐かしい時間を共有したような気分になっているナナイなのであった・・・)

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