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93/09/15 16:26:30 KAWANO 朝日新聞>原発集中立地福井県民の意識
原発集中立地の福井県民の意識ーーーー本社電話調査
「地域への貢献 割れる評価」
プルトニウム利用 反対論が65%
「安全性」の説明 61%が不十分
原子力発電所が日本で最も集中している福井県の住民は、原発の
集中立地や来春にも始まるプルトニウム利用などをどう受け止めて
いるか−−。朝日新聞社はこのほど、原発について、電話による県
民意識調査を実施した。その結果、「福井県には原発が多すぎる」
との意見は約7割に達し、増設への抵抗感が強いことを示した。プ
ルトニウム利用についても、反対論が3分の2近くを占め、賛成論
を大きく上回った。今後、原発を推進することに対しては、賛成、
反対ともに3割台で、最初の原発の運転開始から4半世紀近くたつ
のに、いまだ地元で意見が分かれている現状を浮き彫りにした。
福井県では、1970年に最初の原発の日本原子力発電敦賀1号機が運転を開始し、2
4年目の現在は12基が運転中で、全国の原発(運転中46基)の約3割に当たる。
県内の原発の数を「多すぎる」とする人は69%で、「そうは思わない」の17%を大
きく上回った。「多すぎる」との回答は、「原発銀座」と呼ばれる県南では8割を越えた
敦賀市で、日本原子力発電が新たに2基の増設を計画しているが、この増設計画に「賛
成」とする人は15%で、「反対」は56%だった。
来春にも運転が始まる高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市)が燃料として使うプルトニウ
ムの利用については「ウラン資源の有効利用のために必要なことだ」と肯定する意見は1
6%だったのに対し、「核兵器の材料にもなるものを使うべきではない」「技術的に未熟
な部分が大きく、使用は見合わせるべきだ」との反対意見は合わせて65%に上った。
原発立地が地域発展に役立ち、よかったどうかでは、「よかった」33%、「よくなか
った」31%と意見が分かれた。単純比較はできないが、84年に朝日新聞社が福井県民
を対象に行った世論調査では67%が「県や地域のため役だっていると思う」と回答して
いる。
原発立地に伴い、電源3法による交付金や法人関係、固定資産税などの税収が自治体に
はいり、道路や学校の整備などに使われてきた。その一方で、地場産業の育成や雇用拡大
などの効果は地元が期待したほどではなく、覚めた見方が広がっていることをうかがわせ
ている。
今後も原子力発電を推進することに対しては、「賛成」38%、「反対」31%と賛否
が分かれた。
県や電力会社などが原発の安全性について、「十分説明している」と答えたのは17%
なのに対し、「そうは思わない」が61%。原発建設の手続きで「住民投票が必要だと思
う」は75%の高率に達した。
地方自治体が原発建設についての住民投票を条例で定めたのは国内ではわずか2例(高
知県窪川町、三重県南島町)があるだけ。
<調査の方法>福井県内の各市町村の選挙民名簿から無作為に選んだ1000人のうち
、電話番号が判明した891人を対象に、4、5両日、学生調査員が電話で回答を得た。
有効回答は692人で、男性327人、女性365人だった。
1993.9.13日付け 朝日新聞