製版技法の種類と簡単な説明
スクリーン製版技法は、大ききくカッティング技法、ブロッキング技法、写真技法があります。
製版技法は、表現効果、目的、経済性、技術の難易度などによって決めます。もっと細かくいうと、スクリーン生地や、インクの種類、版の再生の可否なども考慮します。
一番は、自分の表現したい効果が得られる製版方法をとることが大切です!
カッティング技法
この技法は、もっともオーソドックスな技法で、ニス原始を使った技法が主流だったらしい。しかし今では、表現範囲が広く、応用がきく写真技法がとって変わっている。
カッティング技法には、原始タイプとフィルムタイプの二つに分けられます。原始タイプは、原始自体安価であるが、張り付けにアイロンを使うので、スクリーン生地はシルクがベストといえる。フィルムタイプは、高価であるが、スクリーン生地は選ばないし、手間が原始タイプよりかからない。
カッティング技法の原理は、原始なりフィルムをカットしたものをスクリーンに張り付け、その張り付けた部分が目止めされる。そして目止めされなかった部分からインクが押し出され図柄が印刷される。
ニス原紙
- 原始タイプ。
- スクリーンの張り付けにはアイロンを使用。
- 水性インクの使用には、補強剤を塗る必要がある。合成樹脂インク使用不可。
- 版の完全な再生不可。
- 線の切り口がシャープ。単純で大きな図柄に向いている。
水張り原紙(ヒラーペーパー)
- 原始タイプ。
- スクリーンの張り付けにはアイロンを使用。ニス原始より安価で自分で簡単に作れる。
- 水性インクの使用不可。合成樹脂インク使用可。
- 版の再生可。
水性フィルム
- フィルムタイプ。
- 価格が高い。
- スクリーンの張り付けは、水で濡らし自然乾燥。
- 水性インク以外のあらゆるタイプのインク使用可。
- 版の再生可。
- 線の切り口がよわい。大きな作品には向かない。
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ラッカーフィルム
- フィルムタイプ。
- スクリーンの張り付けにはシンナーを使用。
- ベースが紙なので、あまり透過性がない。(下絵が透けにくい)
- 水性インクの使用可。
- 版の完全な再生不可。
- 線の切り口がよわい。大きな作品には向かない。
ブロッキング技法
この技法は、スクリーンに直接的に目止めしていく方法で、描画剤で、スクリーンに直接ポジティブなデッサンをし、バケットかスキージで目止め剤を塗ります。目止め剤が乾いたら、溶剤で描画剤を溶かして出来上がります。つまり描画剤でデッサンした部分からインクが押し出されるわけです。版の再生が容易におこなえます。
ブロッキング技法は、大きく3つの製版方法があります。線や文字のエッジは、はっきりしませんが、逆に描画材料のタッチを生かした作品を作ることができます。
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描画剤と目止め剤を使った方法
- 技術的に簡単。
- 色々な種類の異なったタッチが同時にだせる。
- 描画剤の選択(水性、油性)で、水性又は油性のインクが使用可。
- 目止め剤に水性材料を使用した場合、版の完全な再生可。
目止め剤でデッサンする方法(アウトブロック)
- 技術的に少し高度。
- 色々な種類の異なったタッチが同時にだせる。
- 描画剤の選択(水性、油性)で、水性又は油性のインクが使用可。
- 目止め剤に水性材料を使用した場合、版の完全な再生可。
- 細かい線など表しにくい。
インスタントレタリングと目止め剤を使った方法
- カッティング技法では出来ないような細かな文字の製版が簡単に出来る。
- 文字のエッジはよわく、カッティング技法よりおとる。
- タイプトーンや、カッティングシートでも応用ができる。
- 描画剤の選択(水性、油性)で、水性又は油性のインクが使用可。
- 目止め剤に水性材料を使用した場合、版の完全な再生可。
写真技法
この技法は、他の製版技法と比べて、かなり精密な図柄の表現が可能です。この方法を用いると、濃淡の階調のある原稿でもアミ点を使って表現できます。ただし、アミ点で再現できるのは、30〜60線の間が適当です。
直接スクリーンに感光乳剤を塗り、ポジフィルムを焼き付ける直接法といったんポジをフィルムに焼き付けてスクリーンに貼り付ける間接法、そしてその中間で、スクリーンに感光剤をぬり乳剤フィルムをはる直間法の3種類があります。
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直接法
- 乳剤の塗布に、ある程度の技術が必要。
- 乳剤はバケットで塗布するため厚さに個人差があり、感光時間が一定しない。
- ヂアゾ系感光乳剤は、個人使用には不経済。
- 版の耐久力がある。大量印刷に向く。
- 大きいサイズに向く。線画部分は、シャープさが劣る。
- ヂアゾ系感光乳剤の版は完全な再生可。
間接法
- 材料費が高い。
- 版の耐久力は、やや劣る。
- 大量印刷に向く。大きいサイズに向く。
- 線画部分は、直接法よりシャープ。
- フィルムを使うためスクリーン生地は絹が良い。
直間法
- 材料費は直接法と間接法の中間。
- 版の耐久力がある。
- フィルムを使うためスクリーン生地は絹が良い。