スクリーン生地の素材による特徴
どのような印刷方法であっても、まず最初に版になる材料を準備する必要がありますが、シルクスクリーンの場合、枠にスクリーン生地を張ったものがそれにあたります。
スクリーン生地の素材としては、シルクスクリーンとよばれる由来のシルク、そして化学繊維のナイロン、テトロン、イエロン、アルミなどあります。
これらの素材は、それぞれ一長一短があります。枠張り方法、製版技法、予算などを考慮して選択します。
「素材別、長所・短所」
シルク
長 所
- 熱に強く、アイロンを用いる製版に向く
- フィルムの接着がよく、もっとも使いやすい
- ハレーション現象(*1)を起こす心配がない
短 所
- 織り目がやや不規則でメッシュ(*2)に限界(200メッシュ)があるので、細かな感光技法に不向き
- 価格が高い
- 水気を吸うとのびるので、水性、水溶性インクには不向き
ナイロン
長 所
- 織り目が均一なため、目の細かな高いメッシュを得られ、細かな図柄に向く
- 摩擦に対するもっとも強い耐久性があるため大量印刷に向く
- インクの通過性がよい
短 所
- 熱に弱く、アイロンを用いる製版に不向き
- 感光技法には、ハレーション防止をする必要がある
- 伸縮性が大きいので、強くスクリーンをはらないと誤差がでる
テトロン
長 所
- 織り目が均一なため、目の細かな高いメッシュを得られ、細かな図柄に向く
- 摩擦に対する強い耐久性がある
- 耐水性に富み、濡れたときの強さにも変化しない
- 価格が安い
短 所
- 熱に弱く、アイロンを用いる製版に不向き
- 感光技法には、ハレーション防止をする必要がある
イエロン
長 所
- 感光技法には、ハレーション防止をする必要がない
- 以下、テトロンと同じ
短 所
- 熱に弱く、アイロンを用いる製版に不向き
- 価格が化学繊維の中で最も高い
(*1) ハレーション現象 .......... 感光技法にて、感光を行った際に一度通過した光が裏から反射して、焼き付け現象を起こし、
細かな図柄の抜けが悪くなる現象。
(*2) メッシュ .......... 織り目の密度のことで、1インチ(約2.54cm)の中に織られている糸の本数のこと。
100メッシュといえば、1インチの幅に縦糸・横糸ともに100本で織られていることを示します。