PartitonMagicやDrive Imageは便利なツールですが,OS自体が入っていないPCを操作する場合,フロッピーディスクから起動してやる必要が生じます。ところが,これらのフロッピーディスク版は最新バージョンでもそれぞれ3枚構成となり,起動に時間と手間がかかってしまいます。そこで,CD-Rを使ってこれらをCD-ROMドライブから起動するブータブルCDを作成しました。
以下にその作り方を説明します。
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PCのブータブルCDは,ElTritoという規格で仕様が定義されています。これはフロッピーディスクのイメージをCD上に格納しておき,BIOSがこれを仮想的なフロッピーディスクとして処理するというのが基本的な考え方です。規格自体にはフロッピーイメージではない方法も用意されているようですが,詳細は知りません。
CDからブートするとこの仮想的なフロッピーディスク(A:ドライブ)からブートしたような状態になります。MS-DOSやWindows 9xの起動ディスクをこの仮想ディスクとして入れておけば,そこからHDDやCD-ROMなどへアクセスしてさらに複雑な処理を続けることができるわけです。
起動ディスクにMS-DOSやWindows 9xを使う場合,CD-ROMへアクセスするためのデバイスドライバやMSCDEXを入れておく必要があります。これを入れないとCD-ROMからブートしたにも関わらずCD-ROMにアクセスできないという間抜けな状態になります。(笑)
CD-RライティングソフトとしてはWinCDR 5.0を使います。もちろん他のツールでもブータブルCDは作れますが,私はこれしか使っていませんので,以下はWinCDR 5.0を前提にした説明になります。
CDからブートするOSはMS-DOSモードでフロッピーから起動できるものなら何でもかまいませんが,FAT32区画を読み書きできた方が便利ですのでWindows 95OSR2/98/98SEを使うことをお勧めします。
ただし,以下の説明ではWindows 98にしか附属していないツールを一部で使っています。このためこの手順の通りに作るのであればWindows 98または98SEが必要になります。
CONFIG.SYSとAUTOEXEC.BATをいかに作るかが,このようなブータブルCDを作る上で最も手間のかかる点です。細かい説明は省略しますが,ブート時の処理の流れは次のようになります。
- ブートするとCONFIG.SYSのメニュー機能によってどのツールを起動するか選択する画面が表示される。
- AUTOEXEC.BATでは選択肢に応じた処理を行う。基本的にはMSCDEXを使ってCD-ROMドライブを読めるようにした後,CD-ROM上の各ツールを起動するという流れになる。
- PartitionMagicは,指示した処理内容をスクリプトファイルに吐き出してそれをまとめて実行するという仕組みになっている。このため書き込み可能なディスク上で実行しなくてはならない。Windows 98の起動ディスクで使っていた方法を流用して,RAMDISKを作成した上でそこにPartitionMagicをコピーしてから起動する。
以下は作成したCONFIG.SYSとAUTOEXEC.BATの内容です。
なお,CD-ROMはATAPIに限定しています。SCSI等のCD-ROMにも対応したより完璧な物を目指すならば,Windows 98の起動ディスクがやっているように各ドライバの組み込みを順次トライする仕組みを追加しなくてはなりません。
ファイル |
内容 |
CONFIG.SYS |
[menu]
menuitem=PMAGIC, PartitionMagic 6.0
menuitem=BMAGIC, BootMagic 6.0
menuitem=DIMAGE, Drive Image 4.0
menudefault=PMAGIC,30
menucolor=7,0
[COMMON]
LASTDRIVE=Z
FILES=10
BUFFERS=10
STACKS=9,256
DEVICE=HIMEM.SYS /TESTMEM:OFF
DOS=HIGH,UMB
DEVICE=OAKCDROM.SYS /D:MSCD001
DEVICEHIGH=BILING.SYS
DEVICEHIGH=JFONT.SYS /MSG=OFF
DEVICEHIGH=JDISP.SYS /HS=LC
DEVICEHIGH=JKEYB.SYS /106 JKEYBRD.SYS
[PMAGIC]
DEVICEHIGH=RAMDRIVE.SYS /E 4096
[BMAGIC]
[DIMAGE]
|
AUTOEXEC.BAT |
@echo off
loadhigh MSCDEX.EXE /D:MSCD001 /L:Q
goto %CONFIG%
:PMAGIC
set LglDrv=27 * 26 Z 25 Y 24 X 23 W 22 V 21 U 20 T 19 S 18 R 17 Q 16 P 15
set LglDrv=%LglDrv% O 14 N 13 M 12 L 11 K 10 J 9 I 8 H 7 G 6 F 5 E 4 D 3 C
cls
call setramd.bat %LglDrv%
set LglDrv=
copy Q:\XPM6 %RAMD%: > NUL
%RAMD%:
PQMAGIC
goto QUIT
:BMAGIC
Q:
cd \XBM6
call AUTOEXEC.BAT
goto QUIT
:DIMAGE
Q:
cd \XDI4
MOUSE
PQPACKET
PQDI.EXE
goto QUIT
:QUIT
|